夏のような暑さはもう来ないと、やっと天気予報の方々が言い切りました。暑さには極度に弱い私にとっては、とても朗報でした。一番好きな、涼しい秋をようやく過ごせるという安堵感でいっぱいです(笑)
スポーツの秋という言葉もありますが、もはや死語になりつつある気がします。適度に楽しく、気持ちよくスポーツという概念から、学校教育が完全に外れているからです。
その件について、バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得した有森裕子さんが警笛を鳴らしていますので、今日はこの記事の一部をご紹介します↓
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失われていく「正しいスポーツのあり方」
一連の報道を見ていると、競技団体の幹部やチームの指導者が権力を持ちすぎて独裁的になったときほど、本来の「正しいスポーツのあり方」が忘れられ、「間違ったスポーツに対する考え方」が蔓延していくように感じます。
では、「正しいスポーツのあり方」とはどんなことなのでしょうか?
私が考える正しいあり方とは、「スポーツは、社会で生きていくための1つの手段にすぎない」ということです。
競技を引退しても社会人としてきちんと生きていくための1つの手段がスポーツであり、選手がその競技を通じて社会で生きていくための人間性を育てたり、サポートしたりすることが、指導者や幹部の本来の役割であるはずです。それは、学校のクラブ活動のレベルはもちろんのこと、オリンピックのメダリストを育てるトップレベルでも同じだと思うのです。
指導者や幹部が勝利至上主義に走り、選手を試合に勝つことだけを目指す“スポーツ人間”に育てることは、「正しいスポーツのあり方」とはかけ離れた育成方針であると私は思います。
日本一になった先、あるいはオリンピックでメダルを獲得した先には、何があるのでしょう。努力して世界記録を出した先に、何が待っているのでしょうか。
どんなに偉大なアスリートも、いつかは競技を引退して、競技者ではないセカンドキャリアを歩まなければいけません。そのときになって、「かつて世界一になった」という栄光をよりどころにしてふんぞり返り、結果を出すためには何をやってもいいと思うような大人になって幸せになれるほど、世の中は甘くありません。
今回、ニュースで取り上げられた幹部や指導者たちは、自分たちが取った行動や言動で、そんな“スポーツ人間”を世に輩出してきたかもしれないということを深く反省し、いま一度、指導者とは何か、スポーツとは何かを考えるべきではないでしょうか。
●学校のクラブ活動に、競技スポーツの考え方は不要では?
もちろん、選手たちを立派な社会人に育てるべく、真っ当な教育をされている指導者はたくさんいるでしょう。そうした方々は、一連の暴力やパワハラ問題に腹立たしさを感じているでしょうし、本当にお気の毒に思います。
また、こんなに情けない大人たちの姿をメディアを通じて目の当たりにしたことにより、選手(子ども)が指導者(大人)を信用しなくなる、という弊害が生じているかもしれません。両者の根底にあるべき信頼関係が揺らぐと、指導に過剰に反応してクレームに変える選手も出てくるかもしれませんし、そんな選手に対してうまく指導できないもどかしさから、思わず手や暴言が出てしまう…という悪循環も起こり得ます。
そんな状況を回避するためにも、私は、学校のクラブ活動に関して言えば、競技スポーツというあり方は必要ないのではと考えています。クラブ活動はあくまでも、メンタル・フィジカルエデュケーション(保健と体育)の一環として捉えるべきで、心と体を育てるための基礎的な動きや考え方を教える場にすればいいのではないでしょうか。
その上で、そのスポーツをより本格的に極めたいと志す子どもたちは、学校の外のクラブチームなどに所属し、競技力を向上させられるような体制にすればいいと思います(もちろん団体種目など、競技によってはそうした体制にするのは簡単ではないことは分かりますが…)。
そうすれば、子ども本人は、本格的にやろうと自身で決めたことに対して責任を持ち、高いレベルの練習や厳しい指導にも、納得しながら取り組もうとするのではないでしょうか。一方、そんな高い意識を持った子どもたちを教える指導者は、より真剣に子どもと向き合い、競技力向上のための厳しいコーチングもしやすくなります。
このようなすみ分けができれば、「同じ指導内容でも、Aくんは納得できて、Bくんはひどい暴言やパワハラを受けたと感じる」という状況が生まれにくくなるのではないかと思います。もちろん暴力による指導は論外ですが、互いの熱意や真剣さが伝われば、信頼関係は深まり、指導の一つひとつが競技力向上や強いメンタルの育成につながりやすくなるように思います。
●「アスリートファースト」という言葉はなくしてしまったほうがいい
最後に一点、社会性を失い、私利私欲で動くようなスポーツ指導者や、組織を私物化する競技団体幹部などがいる現状で、「アスリートファースト」という言葉が当たり前のように使われていることを、私は恥ずかしく思います。
「アスリートファースト」というのはもともと、競技団体やスポンサー、大会主催者などの都合ではなく、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるような環境整備を優先しよう、という意味合いで使われ出した言葉です。
そのこと自体に異論はありませんが、実際には、「アスリートファースト」という言葉を盾に、関係者が自らのエゴを押し通そうとしていると感じることが少なくありません。
どんなに優れたアスリートであっても、社会という集合体の中の1人の構成員にすぎず、オリンピックも社会で生きるための1つの手段にすぎません。オリンピックに関係なく生きている人が大半を占める中で、そんな人たちが働き、この社会を支えているからこそオリンピックが開催できるのだという事実を忘れてはいけませんし、スポーツにさしたる関心を持たない人たちの感情を無視することがあってはいけないと思うのです。
私は、東京オリンピックを含むすべてのスポーツイベントは「アスリートファースト」ではなく、「社会ファースト」であるべきだと思っています。その社会ファーストを実現させるためにも、競技団体の幹部や指導者たちがスポーツを通じて、社会でしっかり生きることができる人間を育てなければ、スポーツの意義が社会の中から失われていくのではないかと危惧しています。
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私のところにも塾生の親御さんから部活に関する相談がよく来ます。
ちょっと言葉は悪いかもしれません。
ご自身のエゴのために部活を利用している教員が、それ相応にいますね。困ったことに。
部活はそもそも教育の一環なのに、教員自身が顧問を務める部の活動が認められたい、入賞したいなどの個人的欲求のために、子どもたちや親御さんを振り回してる印象を受ける方が、私も過去それなりに見てきました。
スゴいのになると「塾なんてやめちまえ!」とか「勉強を優先?」おまえはチームワークを何だと思ってるんだ?けしからん!」などの暴言を吐かれる方も。
とりわけ、若い教員に多いようです。
人生経験の少なさもあって、広い視野で物事を判断できないというか…(もちろん、子どものことを第一に考えて行動する教員の方が多いと思いますが)。
少し話は変わります。
実際にあった話ですが、部活の練習時間が長すぎて親御さん方が顧問や校長に抗議したらしいですが、報復攻撃みたいな感じで、その抗議した親御さんたちの子の内申書を(明らかに)意図的に下げてきた事件がありました。地元ではかなり有名になりました。
もちろん、顧問や校長は全否定していましたが、通知表オール5の学年トップクラスの子が、成績を維持しているのにオール4まで下げられたわけですから、大ごとです。この子は私の前で思いっきり泣いてしまいました。
親御さんは、自身の抗議がお子さんの高校受験の足を引っ張ったということで完全に委縮してしまい、それからは顧問がどんなに横暴でも何も言わなくなったそうです。
でも、明らかに違和感を感じたのは、私だけではないはずです。
私もその当時は大手進学塾の校舎長でしかなかったので、もちろん顧問や学校長に抗議する権限などありませんし、「教育委員会に直接どうでしょうか?」と委縮する親御さんに助言するのが精一杯で、己の無力さを呪ったものです。
モンスターペアレントが叫ばれる昨今ですが、それに負けないぐらい、中には教師の権限を最大限使って暴力装置を作動させる教員がいることに、当時は驚きを隠せませんでした。
確かに、教員はサービス業ではないので、傲慢な保護者の方にヘコヘコ頭を下げる必要などないし、そんな方には強気に出ていいと思います。ただ、そうではない子どもや保護者に、顧問だからといって強権発動は違くないですか?
今ウチの塾でも、明らかに部活の比重がおかしい塾生が何人かいます。聞けば、部活の拘束時間が異常に長い。最終下校時刻などクソくらえ、しかも大して強くないのに。
体育会系に限らず、文化系も吹奏楽部や管弦楽部はイヤでも拘束時間が長くなります。もちろん、それに見合った実績があれば受験でも内申加点があるので救いですが、何といっても子どもの学習時間がどんどん削られていくというね。
ウチの塾生がこんなことを言ってました。
「顧問の先生はそこまでじゃないんだけど、一部のママ友たちが “大学受験で頑張ればいいんだから、高校受験は諦めて今は部活に精を出させるようにして下さい” と私たちや両親に圧力をかけてくるんですよ。それで、部活を塾が理由で休んだら、“あの子、仲間外れにしちゃなさい!”と村八分にするよう子どもに仕向けるんです…」
話を聞いてると、教員以前に、一部の親御さんにも問題があるようで…。
誰のための部活なんでしょうね?
すべて大人のエゴで回って、ダメになる気がします。