あちこちの中学校で期末テスト真っ最中もしくは直後の時期ですが、テストが終わったら今度はすぐに数検と英検が立て続けであります。
オトナはオトナで忙しいですが、子どもの世界も十分忙しいんだなと感じますし、その中で自立と自律を成し遂げるだけの強いマインドを持ち続けるのがいかに大変か分かります。ウチの塾生たちの更なる進化を期待しつつ、ウチはいつも通り指導に邁進するだけです。
さて、今日は日経絡みの記事がありますのでご紹介します。ある意味、学歴社会におけるアンチテーゼな側面がありますので、興味のある読者はぜひご一読下さい↓
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元号が令和に変わってから、「新時代」という言葉を見聞きすることが増えました。ニュースは有名企業の不祥事や経営破綻などを報じ、新しい時代の到来によって、古い世の中の仕組みが変わっていくさまを見ているかのようです。誰の胸の中にも「新しい時代をどう生きていくべきか」という問いが生まれているのではないでしょうか。
従来は、斬新なアイデアを持った人材より、上の指示に従うタイプの人材が求められてきました。そのため、教育においても「親や学校の先生の言うことをきちんと聞き、みんなに合わせることが大事」という風潮がありました。しかし、今私たちに必要とされているのは、どんな変化にも対応する強い自立心です。これまで「この会社に勤めていればひとまずOK」と安心していた人たちにとっては、とてもハードな時代がやって来たのかもしれません。
●私たちの思考を縛る「外側からの評価軸」
変化の時代では、何よりも自分の頭で思考し判断していくこと、柔軟な物の見方をすることが強く求められます。しかし、この「自分の頭で考える」ということ自体が困難になっている人がとても多いのです。なぜなら、私たちはこれまで、「外側からの評価軸」に忠実に生きることを求められてきたが故に、どうしても誰かの評価を念頭に置く狭い思考でしか、物ごとを考えられなくなっているところがあるからです。
そこでまずは、「外側からの評価軸」に対して、自覚的になる必要があります。そもそも「外側からの評価軸」とは何でしょうか? 代表的な例で言えば「学歴」「職歴」「家柄」、さらには、俳優やモデルらをトップに据えるような「美醜」なども、あくまで誰かが勝手に決めた評価軸です。この他に「上司や親に褒められること」なども含まれます。
つまりこれらは、いわゆる世間の評価です。このどれもが、新時代ではこれまでと同じようには通用しなくなってきていると感じます。コンプレックスやこだわりから自由になることは容易ではありません。ですが、あえてそこから自分を解放していく意識を持たなければ、新時代の変化のスピードに対応できなくなってしまいます。
では、古い時代の刷り込みに対し、どうやって自覚的になっていけばいいのでしょうか? 分かりやすい例を挙げましょう。僕のある友人は先日、母親と一緒にハワイ島を旅したそうです。彼女の母親は「いい年してビーチなんて歩けない」と抵抗しながらも、娘に無理やり海に連れて行かれました。しかしそこで目にしたのは、同世代の女性たちが、自身の体形や年齢など気にもせず、ただ海で遊ぶことを心から楽しんでいる姿でした。
するとその母親は、いかに自分が日本人の「恥」の意識にとらわれ、人生を謳歌することを忘れていたか一瞬で理解し、その場で泣いてしまったそうです。水着さえ持って行っていなかったのですが、「構わないわよね!」と笑ってTシャツと短パン姿で海へ入ったといいます。
このように外見へのこだわりは、自身が置かれていた環境下での「刷り込み」に大きく影響されます。環境が変わることで、相対化できることも多いのです。
●環境が変われば評価も変わる
転職も、環境による刷り込みに対して自覚的になるいい機会になります。人気ネットショップ「北欧、暮らしの道具店」を運営する、クラシコム代表取締役の青木耕平さんは以前、「転職とはこれまでの自分に対して客観的になることである」と話していました。
これはすごくいい言葉だと思います。僕も何度も転職を経験してきたからこそ感じることですが、会社とは、どんなに多様性に富んだ人材を揃えた場所であっても、一つの理念に向かう組織である以上、似たような考えに偏りやすい場所でもあります。転職をすることで、新しい会社の価値観の中で働くことができ、そのうちにこれまでの自分の働き方やアイデアを客観的に見られるようになるのだと思います。
知らぬ間に自分の中に取り込んでしまっている「外側からの評価軸」に気付くには、今いる環境から全く別の環境へ一時的にでも移ってしまうのが、手っ取り早い方法だと思うのです。
僕は何も、皆さんにすぐにでも転職をすることを勧めているわけではありません。例えば、出張で地方へ行くのなら、ぜひ地元の居酒屋へ足を運んでみてはどうでしょう。これは僕もよく経験したことですが、都内では年相応にしか見られなかったとしても、地方に行って環境が変わった途端に、すごく若く見られる…つまり、自分を見る周囲の目がガラリと変わることはよくあるのです。いかに「評価」というものが、自分を取り巻く限られた環境下でのあやふやなものでしかないかということを、一瞬で体感できることと思います。
●「自分だけの評価軸」を育てよう
「外側の評価軸」に自覚的になれると、たとえ世間の評価が依然として変わらないままでも、そこから距離を取れるようになります。世間の目に対して、必要以上に敵対的になる必要はありません。自分の中で「自分だけの評価軸」を育てていく意識で、「これが好き」「嫌い」の判断を繰り返していくことが大切だと思います。
外側の評価軸を「知識の一つ」としてとらえ、同時に自分だけの評価軸もしっかりと作り上げることができるようになると、やがてその2つの価値観が交差する場所に、斬新なアイデアが生まれていくでしょう。
つまり、外側からの評価軸と自分だけの評価軸をコラボレーションさせていくことで、他者からの共感を集め、かつこれまでにない新しさも兼ね備えたアイデアが形作られていくのです。こうして、変化をうまく応用して「自分のもの」としていくことが、これからの時代を生きるコツなのかもしれません。
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平成までの時代において日本人が苦しんできたのは、日本人に刷り込まれた数多くの「前例」や「価値観」だったのではないでしょうか。
自分の価値観を育てるというのは、日本人の多くが幼少期から学んできた「和」という他者に評価をゆだねる価値観です。平成後期からこれからの令和では「個」への転換という流れになることでしょう。
一億総中流社会と呼ばれた時代、みんな同じでないといけないから、違う考えのものは排除されていく…みんながまとまらないといけないから、序列で縛る。こんなことが令和の時代でも続くのであれば、誰も自分の価値観で生きろという方がムリでしょうね。
日本という国は、ちょうど転換期を迎えています。
今まで信じてきた、信じられてきた事象がどんどん崩壊し、ものが崩れだし、ようやく日本人は自分の価値観で生きることへのスタートラインに立たざるを得なくなったのだと思います。
令和の時代が「個」を追求して生きていく人たちを応援するような社会になることを、私もそう願うひとりです。
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