きのうは京都への出張ついでの空き時間を使って、紅葉が美しい知る人ぞ知る「瑠璃光院」で、静寂で神聖な空間の中でのひとときを過ごしてきました。こういった特別な空間、座敷に座って頂いた一杯のほうじ茶の味は、格別なものです。
こういう場所で過ごすと、心が洗われて、クリアな思考になります。
仕事ついでの、素晴らしい時間を堪能させてもらいました。
さて、先日掲載された東洋経済オンラインの記事に、塾に通っても成績が上がらないお子さんに共通する要因が書かれており、概ねそれは当たっているかなと私も思います。
今日は、その内容をご紹介します。以下、転載です↓
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【質問】
中学2年生の娘を持つ母親です。娘は素直な子ですが、どうしても学校の点数が取れません。テスト勉強は1週間前からやり始めますが点数につながらないようなのです。毎回のテストで同じようなことが起こっているため、最近ではやる気も失ってきています。塾には週2回行っていますが、それほど点数につながっているようには思えません。何かアドバイスをお願いします。(仮名:吉岡さん)
■塾に行っても成績が上がらない子たちに共通する原因
吉岡さん、ご相談メールありがとうございます。お子さんは塾に週2回行かれ、1週間前からテスト勉強するなど地道に努力しているものの、点数が取れないということですね。
実は、このような事例はたくさんあります。「塾に行っても成績が上がらない」「テスト前の勉強をしっかりやっているのに点数が取れない」という声はかなり多いのです。筆者の経験では、中程度の成績をとっている子どもたちの中では、このようなことが頻繁に起こっているようにも感じます。
このような場合、個人個人に詳細かつ的確なアドバイスをするとなると、十人十色の対応が必要なのですが、実は多くの場合、共通した原因があるのです。それを知らずにいると、「塾へ行けば成績が上がるだろう」とか「一生懸命勉強すれば成績があがるはずだ」という幻想を抱くことになります。では、その共通した原因とは何かといいますと、それは次のことなのです。
「点数が取れるメカニズム(仕組み)を知らない」
つい先日も次のようなことがありました。知人の息子さんが偏差値で日本有数のトップ私立中学へ合格しましたが、高校1年生になった現在、学年の下位の成績しかとれないということでご相談がありました。そこで私は次のことをお尋ねしました。
1. 英語、数学、国語、理科、社会の各科目の日常の勉強方法と、テスト前の勉強方法はどうなっているか
2. テスト前のスケジュールはどのようになっているか
3. どの程度のレベルになりたいと思っているか
以上3点を30分ぐらいで確認しました。すると驚くべきことがわかりました。いくら“勉強しても点数が上がらない勉強方法”をとっていたのです。もともと勉強が出来ない子であれば、勉強方法を知らないだろうということは想定できますが、日本有数のトップ私立中学に合格している子がこのような状況であったのです。
なぜこのようなことが起こるか。理由は簡単です。
これまで塾がやってくれたからです。
塾のカリキュラムに合わせて、塾の言うとおりに素直に従っていれば点数が取れていたのです。その後、受験が終わり、今度は自力でやっていく状況になると、途端に困ってしまうのです。それまで蓄えた知識で対応できる間は、多少成績は維持できますが、ストックがなくなり、新しい知識や考え方が必要となると、点数が落ちていきます。勉強は、多少の個人差こそあれ、点数が取れる仕組みがあり、それに沿えば点数が取れますし、沿わなければ取れないという、はっきりとしたものなのです。
その子には、チェックが終わった後、各科目の日常の勉強法と、テスト前の勉強法のそれぞれを教え、スケジュールの立て方、そしてモチベーションの話とあわせて、3点セットで話をしました。するとその子は驚いていました。はじめて聞いたというのです。これまで塾がやってくれたことでしょうが、今回、方法論を知ることができたと大変喜んでくれました。
実は、この子に限らず、これまでも同様の生徒を何人も見てきました。とにかく勉強が嫌いだったり、勉強ができない子というのは、点数が上がるメカニズムを知らず、ただ何となくやっているだけで、無駄だらけの方法なのですね。
吉岡さんのお子さんの場合も、おそらくそれに当てはまるのではないでしょうか。お子さんの勉強方法が間違っている可能性が高いでしょう。
(以下、省略)
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これを言ったら塾業界の大半が潰れるので業界関係者は誰も言うわけないでしょうが、塾によっては、通っても半分以上のお子さんは成績が上がることはありません。
成績が上がらなくても、お子さんが満足していれば、辞めさせない親御さんも多いと思います。要するに、塾にとっては「良いお客さん」です。特に、設備面のアピールや先生の優しさをアピールしている塾などは、ほとんどお子さんの結果が出せないと思ってもらっていいと思います。
それはもはや塾ではなく、キャバクラやホストクラブ同然です。
とりわけ、資金力が豊富な大手と呼ばれる個別指導塾に多い傾向です。
塾の商品は「授業」であり、その授業を創るのは講師(スタッフ)の仕事です。
ところが、人材教育はとてつもない時間と労力がかかり、お子さんの人生を預けられるレベルまで育てるとなると長期間で育てる必要もあるし、そこまで待っている余裕など塾(企業)にはありません。営利を追求しなければ、商売になりませんし。
その結果、ハード面である設備面に力を入れて、教室環境をアピールするわけです。
最新の机や椅子、キレイな教室、空気清浄機やアロマテラピーの有無など、およそ指導には関係ないことを声高にアピールし、そこに魅力を感じる親子を取り込んでいくのはいいんですが、まず教務力は皆無です(例外もあるとは思いますが)。
そういった塾にとっては、お子さんの人生設計をするというより、お子さんがお金を落としていけば成績が上がろうが下がろうが、志望校に合格しようがしまいが、どうでもいい話なわけです。私個人としては、こういう光景を散々見てきたので、やるせないです。
そして、成績が上がるお子さんの話に関しては、塾が全部強制的にやらせている間はいいんですが、結局、自分で考えるクセがつかないまま知識の記憶に頼って終わってしまうので、突発的な思考が必要な場面で、まず臨機応変な対応ができないのが難点です。
学生の間はまだいいんですが、大学を出て社会で活躍するときに、生産性の高い仕事をしようとしても単調作業や単純労働しかできない人材になってしまいます。20代はまだいいんですけど、30代以降は、企業によってはリストラの対象要員です。
そして、歳を重ねれば重ねるほど思考は固くなり、新しいモノが吸収できなくなってきます。社会人になってから勉強しようと思っても、まずそんな時間は取れません。新しい知識や技術を大人になってから吸収していくというのは、相当大変なことなんです。
頭が柔らかい子どもの時期だからこそ、今のうちにどんどん考えさせ、たくさん失敗させて、自らの人生で血肉化させていくべきです。その経験は、いずれ図り切れない子ども自身の財産となります。
塾は、その一翼を担うというだけで、「塾に行かせれば成績が上がる」という一方的な親子の期待に応える場所ではないということです。勝手に幻想を抱いて、結果が出なかったときにすぐ失望して退塾連絡をしてくる親御さんを見てると、そのへんの価値観はやっぱり同じだなぁと思ってしまいます。
ウチの塾とかは、設備もボロボロだし、建物も汚いし、塾長も怖いし…。
でも、子どもたちに前向きに「強く」生きるためには何をすべきなのかを話すことで、子どもたちの「心」を書き換え、日頃から計画を立てさせてきっちり履行させ、行き詰ったときはすぐに助け舟を出さずに、ギリギリまで子ども自身に考えさせて、そこからアドバイスを加えていくというスタンスをとっています。
なので、ウチで最後まで残る子たちというのは、学力的にも精神的にも相当タフに成長し、自分の頭で考えて行動に移せる「強さ」を持った若者に、勝手に育っていきます。
当たり前のことを当たり前にしているだけですが、塾によっては、それは当たり前ではなく、単なる商売の場所でしかないんでしょうね。
少なくとも「教育」ではないでしょう。
完璧なまでに「サービス業」でしょうね。私にはムリですが。
色々考えさせられる記事でした。私もまだまだ精進せねば。