中学生は前期中間テスト(第1回テスト)の時期が近づいてきました。
3期制の中学校はすでにテストが終わって結果が却ってきていますが、本人がこれまでの取り組みを真摯に反省した上でのマインドセットが効いたようで、学年末よりも総合点で50点以上アップさせてきています。
とはいえ、ここがゴールでも何でもないので、きっちり反省による改善を加えて、更なる進化を期待しながらも、自己管理のスキルを磨くことを大前提に指導していきます。
さて、日経DUALに私も同感する記事があったので、今日はその文面をご紹介します。
ちょっと長いですが、ぜひお読み下さい↓
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今、世の中には子育てに関する情報があふれ、親は何を基準に子どもを育てていけばよいのか悩みます。「でも、子育てで大事なことはたった一つ。それは子どもに自信を持たせてあげることです」、そう話すのは公立小学校で23年間教壇に立ち、たくさんの子どもたちの成長を見てきた教育評論家の親野智可等先生です。
本連載では、そんな親野先生が勧める、親も子もポジティブになれる子育てを紹介していきます。
●叱るとは声を荒げて欠点をとがめること
病院の待合室で順番を待っていると、小さな子どもが病院の廊下を走り回っていました。するとお母さんは、ものすごい剣幕で子どもを叱りつけました。子どもはお母さんが大声を出したことにビックリし大泣き。そこをさらにお母さんが叱るので、子どもはますます大声で泣きわめきます。
病院や電車の中などで、子どもが騒ぐとものすごく強い口調で叱る親御さんがいます。親御さんからしてみれば、「なんとかその場を静かにさせたい」という思いと、「親の私がきちんとしつけをしなければ、この子はダメになる」と思い込みがあるようです。
しかし、私は子どもに対してこういう叱り方をする必要はないと思っています。広辞苑を引いてみると、「叱る」の意味はこう書かれています。
【叱る】…声を荒げて欠点をとがめる、とがめ戒める
病院で騒ぐ子どもを静かにさせたい。そのために叱った。お母さんからすれば、それは社会のルールを教えるという考えがあったのだと思います。でも、社会のルールを教えるのであれば、声を荒げて叱る必要はありません。そういうときは、子どもに言い聞かせればいいのです。つまり、「叱る」のではなく、「諭す」「言い聞かせる」で十分なのです。
「病院にはお年寄りや身体が不自由な人がたくさんいるのよ。もし、あなたが走り回ってぶつかったら、どうなると思う? お年寄りは骨がもろいから大けがをしてしまうのよ。危ないでしょう? だから、気をつけようね」
そうやって言い聞かせてあげればいいのです。声を荒げる必要などありません。また、そのときは、立ったままではなく、座って子どもと同じ目の高さで言ってあげてください。大人が立ったまま言うと、子どもにはそれだけで威圧感があり、「怖い」という印象しか残りません。声の調子も穏やかであることが大事です。子どもに何か大事なことを伝えたいとき、常にこのことを気をつけてほしいと思います。
一番大事なのは、親が感情的にならないことです。「あっ、私、今イライラしているな」と感じたら、まず深呼吸をしてみましょう。それだけでもだいぶ気持ちが収まります。「そんなことができれば困らないわよ」とおっしゃる親御さんもいるでしょうが、心がけていればだんだんできるようになります。
「早く片付けなさい」「また忘れ物?」毎日の小言が子どもの自信を奪う
子育てにおいて、日常的に叱り続けている親御さんがたくさんいますが、これは一刻も早くやめたほうがいいです。特に「あなた嘘つきね」「ずるい子だ」「情けないわね」といった人格否定をする叱り方と、「あなたなんか生まなければよかった」「あなたがいるせいで…」といった存在否定をする叱り方は絶対に言ってはいけない言葉です。こういうことを言われた子は深く傷つき、自分の存在自体を否定するようになってしまいます。同時に、親に対する不信感を持ち、それが他者一般に対する不信感にまでつながっていきます。
これらは、いずれも子どもを傷つける間違った叱り方です。でも今は、子どもの叱り方についてたくさんの本や記事が出ているので、こういう“一発パンチ”的な叱り方で子どもをノックアウトしてはいけないとわかっている親御さんは多い。ところが、人格否定や存在否定はしてはいけないのはわかっているけれど、物事の否定なら子どもを傷つけないと思い込んでいることが少なくありません。
「早く片付けなきゃダメでしょ。何やってるの」
「また忘れ物したの?気をつけなきゃダメでしょ」
「なんで勉強しないの?ちゃんとやらなきゃ」
こうした言葉は、多くの親御さんが普段から言っていることでしょう。こういう言い方は人格否定でも存在否定でもなく、物事について叱っているのだから言ってもよい、と考えている人がほとんどです。でも、子どもの立場に立ってみてください。いくら物事についてでも、それを言われ続けているのは自分以外の誰でもありません。
ですから、子どもの中の結論としては「自分て、ダメな子だな」になってしまうのです。直接的に人格否定や存在否定をしていなくても、結果的には同じことになってしまうのです。そのことが世間ではいま一つよく認識されていません。
叱っても、子どものモチベーションにはつながらない
では、なぜ多くの親御さんは子どもを叱るのでしょうか?
そこには親の焦りがあると感じています。世の中では、「しつけは子どものうちにつけておくもの」「子どものうちに直しておかないとダメ」という考えが浸透しています。やるべきことをやらずに後回しにしていると、大人になってからヤバイ。親が子どものことを何でもやってあげると、自立できない子になってしまうと思い込んでいるのです。でも、そんなことはありません。
忘れ物が多い子を叱っても、忘れ物は直りません。それにはその子の生まれつきの資質が大きく関係しており、子どものうちに直すのは難しいのです。でも、大人になれば、「このままではいけない」と気づき、スマホのリマインダーに入れておくなど自分なりに努力をするようになります。資質を変えるには内面的なモチベーションが必要なのです。
ですから、できないことを叱って、無理に直そうとするよりも、子どもの成長を待ってあげましょう。無理に直そうとして叱ってばかりいるほうが弊害になります。
「今のうちに直さなきゃ!」と焦らず、子どもの成長を待つ
幼少期の子どもは吸収力がすさまじく、英語でも何でもどんどん覚えていきます。何もないところに新しい知識を入れるという点では、とても有効な時期です。でも、生まれ持った資質を変えるのは難しいのです。なぜなら子どもには自分を変えたいというモチベーションがまだないからです。子どもは今が大事で、今が楽しければいい。ごはんを食べた後にすぐに遊びたい。だから、いちいち片付けたくない。散らかっていても、何も困りません。
でも、子どももやがて大人になります。大人になって、自分の仕事、生き方、人生などを真剣に考えられるようになれば、だんだん気をつけるようになります。○○の資格を取りたいとか、○○に合格したいとか、○○をなしとげなければなど、目的意識を持って生活するようになれば、だらしがないとか時間にルーズとか忘れ物が多いとかでは成り立たなくなります。それで気をつけるようになるのです。
ですから、子どものうちに直らなくても大丈夫です。子どもが苦手でできないことは、親御さんが手伝ったりやってあげたりしてください。それが自立を妨げるなどということもありませんから、大丈夫です。自己肯定感を育てながら長い目で待っていれば、しかるべきときに目的意識を持ってがんばり始めます。そうすれば、苦手なことも少しずつできるようになります。
もちろん、子どもができること、できそうなものは自分でやらせましょう。例えば朝の支度で、親御さんに時間的な余裕があれば、「一緒にやってみようね」とボタンをはめてみたり、紐の結び方を教えてみたりして、自分でできることを増やしてあげてください。
でも、時間がないときは、親がやってあげて、「いってらっしゃい!」と笑顔で別れるほうがいい。親からガミガミ叱られながら別れるのと、笑顔で別れるのとでは、その日の子どもの気分は大きく変わります。親に叱られて別れると、その日は一日暗かったり、イライラして友達をいじめたりするなど、悪い行動を起こしてしまいがちです。でも、親と笑顔で別れれば、その日は楽しく過ごせます。
親がやってあげることに対して誤解が多い世の中ですが、やってあげることは決して悪いことではありません。一番いけないのは、親がイライラした感情を子どもにぶつけて叱ることであり、それが子どもの自信の芽を摘んでしまう恐れがあることを知ってほしいと思います。
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私も叱るタイミングは、かなり見極めています。そして、叱るときのワードも。やたらめったら言えば言いわけではないので。
時代の変化とともに、教育もティーチングからコーチングに変わってきたというのもあるでしょうね。