「勝つ」と「負けない」は同じように見えて、まったくの別物ですよ。

西船橋・稲毛の学習塾:学力再生工房AQURASの村上です。

取り上げられたテレビ朝日系ネットチャンネル「Abema Prime」で“価値観が古い!”と出演されたギャルにディスられて、カンニング竹山さんにフォローしてもらったという、日本全国でも相当珍しい希少価値な塾長やっています(爆)。

この時期になると、受験生はなかなか成績や偏差値が上がらない状況に入ってきます。

で、焦りや不安からミス乱発や調子を崩す者も出てくるならまだマシな方で、成績が平均点から下の学力層になればなるほど、公立高校の受験予定だったはずが、結果がなかなか出てこないから学業に嫌気が刺して闘う気力もどんどん沈下して、比較的入りやすい中堅~中堅下位レベルの私立高校の単願に逃げていくという現象が始まります。

公立受験予定者の10%前後がこうなるのは、毎年のことです。

成績が下位になればなるほど、逃げ癖ついてるし、自分に都合よく世の中の循環を考える思考なので、高校に入って思い通りのキャンパスライフにならなかったときは、悲劇の始まりです。それで中退して通信制に流れて引きこもっていった者を私も長年相当に見てきているので、複雑な心境ではありますが。

こんなに勉強してるのに、成績が上がらない…。
こんなに対策をしてるのに、偏差値が伴わない…。

受験に勝ちたい!合格したい!他の受験生に負けたくない!…ならまだしも、他の受験生をぶった斬ってやる!まで息巻いてる者ほど、本番で失敗してくれていますね。物事を多面的に捉えられないので。

他者を打ち負かす「勝ちたい」ではなく、己や他者に「負けたくない」の思考をする子の方が、人生を懸けた大勝負には功を奏している印象を受けているのは、私の長年の経験値ゆえかどうかはともかく…。

今日は、この「勝つ」と「負けない」について私が思うところを書こうかなと。

「勝つ」ことと「負けない」ことは、結果的には同じことを指していますが、本質的には全くの別物であると考えた方がよいと思います。

「勝ちたい」という気持ちには、背後に本人の欲望が潜んでいて、しかも際限がありません。

限度がないから、目的達成のために手段を選ばない(陰湿な手口含めて)ですし、勝者の裏側には敗者が必ずいるにもかかわらず、そうした敗者の存在や状況を一切無視して、際限なく相手を潰しにかかる手段や方法を採りにかかります。

逆に「負けない」という気持ちには、人間の本能に近いところがあって、負けなければいいわけですから、相手を追い詰める必要もなければ追い込む必要もなく、自分に必要なモノが得られればもう十分…という終わらせ方ができるんです。

その結果、もうこれでいいという満足感や納得感が得られるわけで。

ところが「勝ちたい」という気持ちには、欲望と同道に満足感が得られにくく、満足できないが故に常に不安を抱えて、心から幸せな気持ちに辿り着くことがないんです。

そこからメンタルやフィジカルにおいても、ほころびやモロさが生じてくるのではないかなと。

例えば、自然界の生物の話に例えるのであれば、熾烈な生存競争の中でどのように生き残るか…日々が命懸けの世界で生きているわけで、生物すべてにおいて「勝ちたい」という欲望なんてあるわけもなく、厳しい自然界の中で生き残るために「負けない」という本能だけが絶対のはずです。

あり得ないですが、自然界の生物に「勝ちたい」なんて欲望があったら、どんな世界になるか…想像すると、かなり滑稽です。

点滴の餌食となる生き物は際限なく増えて、最後は生態系の上位の生物しか生き残れなくなります。いや、それもムリですかね。

捕食する獲物がいなければ、それを食している上位の生物も全滅しちゃいますし、食物連鎖を失った地上から生命体は全部亡くなってしまうのですから…。だから、あり得ない。

にもかかわらず、おかしなことに人間界では「勝ちたい」という欲望をどんどん渦巻かせている印象を受けます。

人類全体が「勝ちたい」という欲望で生きていけば、環境破壊や侵略戦争、権力支配の社会構造など、あちこちで様々な軋轢が生じるのは、極めて当然の流れにしかなりません。

「勝ちたい」というのは人間の業であり、それを否定するものではありません。若い世代になればなるほど、そういったエネルギーで溢れているわけで、若者が時代を創っていくために必要な要素でもあります。

ですが「勝つ」ことにこだわりすぎたり、勝たなければ意味がないとかのような思考に陥ると、マイナス面の方が遥かに大きくなってしまいますよね。「勝つ」ことには、相応の節度が必要ではないかと。

「勝つ」よりも「負けない」という感覚を持った方が、一回立ち止まって物事を冷静に見渡して、何が欠けているのか、何が必要なのかを判断しやすくなります。

その時々の学力や偏差値は表面上の強さであり、長期的にキャリア構築をしていく上では「負けない」という感覚を大切にした方が真の人間的強さにつながり、それが大成へとつながるのではないのかなと思う次第です。

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