通常のZoomリモート授業の他に、いよいよ各学年ごとに分けて始まった「リモートホームルーム」と、塾生ひとりひとりの生活習慣の確認・管理や学習アドバイスをする「少人数カウンセリングセッション」は、初回ということもあって各学年の進行にバラつきが出たものの、塾生たちのモチベーションを刺激するには十分役に立ったようです。
もう少しブラッシュアップする必要性はありますが、その部分もスタッフ間で協議を続けており、次回以降はさらに効率よく塾生たちの自己管理への啓発を推し進められるかなと感じつつ、今日は前回のブログ内容の続きをご紹介します↓
脳科学者の中野 信子さんの文の引用になります。
「いい子」ほど過酷な制裁を受ける
「正義中毒」の顕著な例として、世間を騒がせる不倫スキャンダルがあります。中野さんいわく、「正義中毒」の対象になるのは集団のルールを乱す人。その人が親しみやすく、身近な存在であればあるほど、制裁は過酷になるといいます。
協力構造への裏切りは、「正義中毒」を発動させる格好のエサ。脳の前頭葉が「自分は正義」だと判定するとドーパミンが分泌され、快感を感じる仕組みになっているため、叩く行動はどんどんエスカレートしていきます。
相手が自分に従い、平伏していれば満足。しかし、ちょっとでも反発したり、自分の意思を示そうとすると許せなくなります。
相手の過ちや不得意なことを責め続ける人や、子どもを虐待する親の行動にも、程度の差はありますが「正義中毒」があらわれている場合があると思います。
物ごとを簡単に決めつけたくなるのは、脳の手抜き
人間は、遺伝子レベルでは98%以上チンパンジーと同じであるといわれます。しかし、残り2%足らずの違いが脳の前頭前野を発達させ、知識や複雑な言語体系を作るもとになったと考えられています。
進化の大きな要因となったのは、集団をつくり、社会性を強化するために使われた能力。「正義中毒」もそこからきていることを考えると、簡単には逃れられないことがよくわかります。
「正義中毒」につながる傾向のひとつに、自分たちの集団を「他よりもよい、優れている」と感じる「内集団バイアス」があります。これが発動すると、グループ外の集団に対しては、バカなどというレッテルを簡単に貼り付けるという行動が起こります。
「日本人は」「男性は」「あの大学の出身者は」……などなど、簡単に決めつけたくなるときは要注意。本来、人にはそれぞれ違いがあり、ひとくくりに判断することはできません。しかしこのバイアスが働けば、脳の処理はぐっと簡単になるのだとか。
「あの集団は自分とは違う」と考えるだけで、手間をかけずに一刀両断できるのです。省力化の名のもとに、脳が手抜きをしているとも言えるでしょう。
「メタ認知」と「脳トレ」で脱・正義中毒!
こうした脳の手抜きを防ぎ、「正義中毒」に飲み込まれないようにするためには、どうしたらよいのでしょうか。
「ひとつ提案したいのは、「メタ認知」を鍛えることです。「メタ認知」とは、いわば自分を監視するもうひとりの自分。どんなときに「許せない!」という感情が湧いてしまうのか、自分自身で認識する努力をしてみましょう。それができれば、自分を客観視して「正義中毒」を抑制できるようになります」
「正義中毒」を抑制する機能を持つ脳の前頭前野は、平均して20代後半から30歳頃に成熟します。前頭前野が老化により萎縮してくると、相手に共感する能力が衰え、適切な判断ができなくなるそう。
もしも「昔はよかった」と懐かしむことが増えたなら、前頭前野が老化しているサインかもしれません。前頭前野が衰えると、新しいものや自分と違うものを受け入れにくくなります。これは「正義中毒」の思考パターンと根は同じです。
老けない脳をつくるトレーニング
脳の老化は避けられない現象ですが、あきらめることはありません。前頭前野のニューロン(神経細胞)は死ぬまで新生するため、この部位をよく使うことで、機能を比較的保つことができるそうです。
「メタ認知を鍛えるためには、優れたメタ認知能力を持つ人との交流も効果があります。もっとも大切なのは、人間は不完全なものであることを意識し、自分にも他人にも「一貫性」を求めないことです」
正義を主張する快感は、自分の人格をも豹変させ、いつもなら考えられないような激しい言葉を浴びせてしまうこともあります。
「今、自分は正義中毒状態になっているかもしれない」と感じたときは、まず「メタ認知」を意識し、自分を観察することから始めてみましょう。不毛な争いから抜け出す手がかりが、きっとそこに潜んでいるはずです。