「マウンドに立つことができるのは、選ばれた者だけだ。その意味、分かってんの?」

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来週は英検が控えているためか、土曜日は授業がないのですが自主的に出てくる塾生が増えました。ただ、言われて出てくるようではダメですね。その意味をひとりひとりに考えて気づいてもらわないと。私たちもそのための葛藤が続きそうです。

先週はデスクワークに追われ、ほとんど運動ができませんでした…。元旦に転倒した際の左足首の負傷の後遺症がそのまま今までずっと残っていて、どんなにウォームアップしても激痛が走るために、まともに運動できず…困ったものです。

長年やってきたソフトボールも、もう数年もボールを握っていなかったのですが、最近になって、私の母校:市立千葉高校の男子ソフトボール部でピッチャーしてるウチの塾生のピッチングを見るためにキャッチボールした際、数年ぶりに投げたんですが、塾生から言われたのは、

「塾長、ストレート早すぎてヤバいっす。まだ全然現役でイケますって…勿体ないっすよ」

でした。

塾生から持ち上げられるオレも老けたなぁとか思いながら、こういう言葉をかけてもらえるから、人間は頑張ろうとするんだろうなと改めて感じたものです。

私もこれまで以上に、塾生をやる気にさせる「ひとこと」をサラッと言えるようになりたいものですね、ほんとに(笑)

以前、入塾面談で「少年野球チームでピッチャーやってるけど、でいれば投げたくない」

という話が子ども自身から出ました。
理由を聞くと、

「自分が投げて負けるのがイヤだ。みんなに迷惑をかけたくない…」

だそうです。
気持ちは分からなくありません。

試合に出たくても出れないメンバーの想いも一身に背負い、守る野手たち全員の想いも背負って、目の前の強打者や好打者に立ち向かう。怖くて、震えるときもあります。

打たれるかもしれない、試合をブチ壊すかもしれない、みんなをガッカリさせて失望させるかもしれない…ネガティブ要素てんこ盛りになる子だっているでしょう。

これに関しては、皆さん思うところがそれぞれあると思うので、私は敢えて「ひとつだけ」この子に言わせてもらいました。たくさん言うと、混乱するでしょうから。

それは、

「マウンドに立つことができるのは、選ばれた者だけだ。その意味、分かってんの?」

です。

私は中学での硬式野球経験者とはいえ、基本的には野手でした。そんな一野手から観ていると、マウンドに立てる資格のある人は、チーム内でも特にプレーが上手い人や誰から見ても「こいつはスゲーわ」と思えるような人でした。誰もが文句も言えない、守備も打撃も万能な人だけが許される聖域なんですよね。私のような下々には縁のない場所というか。

だから、高校でソフトボールに転向したとはいえ、マウンドに立ったときに初めて、野手のときには見えなかった別の景色を見せつけられて、怯えあがったものです。

真夏の大会、みんな汗だくの中で守っているのに、四死球出しまくりで試合をブチ壊したことだって何度もありました。その度にみんながわたしに文句を言いたいのを抑えてくれて、敢えて見守ってくれたことに感謝と同時に、自分自身のふがいなさに対する怒りが抑えきれず、当時はかなり荒れたものです。器物損壊は日常茶飯事でした。

マウンドに立つ人は、最もスポットライトを浴びて華やかである反面、最も責任が重く、野手では想像もつかない孤独を味わうことになります。そのかわり、野手では経験できない貴重なモノもたくさん手にするわけですが。

みんなの期待を一身に背負い、みんなを笑顔にさせるためにも、自分自身が勝てる投球をしなければならない…野手だった頃の他人事だった感覚はなくなり、自分自身の能力を高めるためにあらゆるものを試して、鍛えたものです。

私はどう見ても実力でピッチャーに選ばれたとは到底思ってもいなかったので、後ろで守る野手のみんなから信頼を勝ち取るためには、己を磨き続けるしかなかった。そして、県大会準優勝も関東大会も出場を決めたときに、みんなから「おまえに任せて良かった」と言ってもらえたときは、完全に涙腺崩壊してしまったものです。

やっとみんなから認めてもらえた…張り詰めていた意図が切れた瞬間、すべて報われました。

だから、この子にも胸を張ってマウンドに上がってほしい。そして、マウンドに上がらせてくれた監督・コーチやメンバー全員の想いや期待を一身に背負って、一回りも二回りもたくましくなってほしい…私はそう思うんです。

私もそろそろリハビリ目的で、ソフトボールやりたいなと思っています。そんなに強くないチームでいいから(失敬・笑)、またあの頃の感覚に浸りたいなと。

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