これからは人を許せない気持ちが増幅していく…日本人の正義の在り方とは?(前編)

コロナ禍の話ばかりが先行してしまっている昨今ですので、今回はこれまでのように、気になる記事をアップして読者の皆さんにご紹介できればと思います。

Zoomのリモート授業切り替えも落ち着きつつあり、明日からは各学年に分けてのホームルームや少人数セッションでのカウンセリングケアも始まります。私も傍から見ていて、ウチのスタッフたちも十分頑張ってくれているのも感じつつ、まずは現場業務に打ち込むために、今回は文章のみの紹介とさせて下さい。長いので今回の前編と次回の後編に分けてご紹介します。

【前編】

新型コロナウイルスが猛威を振るうなかで、脳科学者の中野信子さんが「今後さらに増えるかもしれない」と危惧する現象があります。それは、「自分は絶対に正しい」、「他人の言動が許せない」という感情が引き起こす、激しいバッシングやハラスメントです。

相手の過失に強い怒りを感じ、日ごろは使わないような激しい言葉で罵り、完膚なきまでに叩きのめさずにはいられない――。これは「正義中毒」というべき一種の依存症状で、自分が属する集団を守ろうとする脳の仕組みが関係していると中野さんは話します。

どうすれば「許せない」自分を理解し、人を許せるようになるのか。今こそ知っておきたい「正義中毒」の構造とその回避策を、中野さんが最新の脳科学から解き明かしてくれました。

人を駆り立てる「正義中毒」

○いつも他人の言動にイライラし、「許せない」という強い怒りを感じながら生きる生活は、けっして幸せなものではありません。それなのに「自分は絶対に正しい」「あいつは叩かれて当然だ」と思ったが最後、強い怒りや憎しみの感情が湧き、知りもしない相手に攻撃的な言葉を浴びせてしまう。いわゆる炎上や不謹慎狩りは、その典型的な例だといえます。

ときには相手を社会的に抹殺するまで続く残酷な行為ですが、そうなっても正義を遂行した側というのは、自分が悪かったとは思わない。正しいことをしたとずっと思い続けるんです。

じつは人間の脳は、他人に「正義の制裁」をくだすことに悦びを感じるようにできていると中野さん。

○正義は我にあり、過ちを犯した相手には何をしても許される。そんな心理状態から実行に移される行動を、社会心理学の人たちは「サンクション(制裁)」と呼んでいます。

人は、本来は自分の所属している集団以外を受け入れられず、攻撃するようにできています。そのために重要な役割を果たしている神経伝達物質のひとつがドーパミンです。私たちが「正義中毒」になるとき、脳内ではドーパミンが分泌されています。ドーパミンは快楽や意欲などを司っていて、脳を興奮させます。自分たちの集団や価値観を守るため、正義をおびやかす「悪人」を叩くという行為によって、快感が生まれるようになっているのです。

ドーパミンがもたらす中毒症状としては、アルコールやギャンブル依存症があります。「正義中毒」の認知構造は、これらの依存症とほとんど同じ。一度ハマると簡単に抜け出せなくなり、罰する対象を常に探し求めるようになってしまうのです。

「正義中毒」を増幅させたSNS

○インターネット空間が出現してから、匿名の個人が見知らぬ他人を攻撃しやすくなったというのは、非常に新しい動きだと感じました。その後のTwitterやFacebookを始めとするSNSの普及は、隠されていた「正義中毒」を見える化し、さらに増幅させたと考えています。

考えてみると、この「祭り」という現象は、古代から連綿と続く祝祭の構造と近いのではないかと。攻撃の対象となる人は、生け贄なんです。その人を攻撃すると、集団の一体感が高まる。集団を守るための社会通念や、共通の認識というのも固まっていきます。

新型コロナウイルスと「正義中毒」

○生け贄となる人の基準は、国や地域によって大きく異なるとのこと。日本の場合、とくに犠牲者になりやすいのは「集団のルール(和)」を乱した人です。生け贄となる人の基準は、国や地域によって大きく異なるとのこと。日本の場合、とくに犠牲者になりやすいのは「集団のルール(和)」を乱した人です。

誰かを叩くのは「世のため人のため」。とても強力な理論武装ができてしまうからこそ、「叩く」という行動が止まらなくなります。

○「正義中毒」は、東日本大震災後のような危機的な状況になればなるほど、盛り上がりやすい素地ができていくことになります。現在は新型コロナウイルスの蔓延と同時に、世界恐慌というべき側面になってきていますが、「正義中毒」の現象がさらに強く起きてくると思います。

女性のほうが「同調圧力」を感じやすい

ダイバーシティ(多様性)を尊重する近年の動きにより、日本社会は昔とくらべて、より個人主義的になり、仮に集団から孤立しても許容されるようになってきました。それは戦後の復興を経て日本社会が成熟し、社会的インフラや衣食住が整ってきた証でもあります。

しかし、人口の減少や格差の拡大に加え、新型コロナウイルスにより社会が激変するであろう今後の日本では、「再び集団重視の風潮が高まる可能性は高いです。

○「みんなに合わせる」ための重要な機能、特に非言語コミュニケーション――場の空気を読むのに使われる領域は、左の側頭葉の一部である上側頭溝(じょうそくとうこう)というところです。これは、言語を司る左側の上側頭回(じょうそくとうかい)という場所のすぐ下にあたります。ここは男性と女性で性差があり、女性の方が統計的な有意差のあるレベルで発達しています。つまり、女性の方が空気を読みすぎて、身動きがとれなくなりがち、とも考えられます。

女性の上側頭溝が発達した要因は、子育てにあるのではないかと考えられているそう。顔色や泣き声など、乳児の非言語コミュニケーションを理解するためには、「空気を読む」能力が不可欠だからです。男性と女性では、「正義中毒」のあらわれ方にも違いがあるのでしょうか。中野さんによると、一概には定義できないけれども、いくつかの研究例があるとのこと。

○いわゆる「人が引きずり降ろされたときの喜び」というのは、女性よりも男性の方が強く感じるという研究結果があります。また男性は女性よりもオキシトシンの分泌量が少ないので、「抜け駆け」をして得する人に、とくに激しい攻撃を加えるだろうということは予測できますね。

女性の場合はもともとの筋力の弱さや体の脆弱性から、相手に直接攻撃するというよりは、「その人が損をするように仕向ける」という攻撃が多くなると想定できます。

男性と女性の脳の違いから考えると、集団の空気を読むことの合理性を理解し、そのためなら嘘をつけるという器用さが女性にはあるといえます。ママ友同士だと正直な意見を言いにくかったり、女性のグループが何にでも「かわいい!」と反射的に肯定的な反応をしたりすることも、その一環かもしれません。

○ただ、その能力の高さによって、自分自身に対するネガティブなメッセージを受容しやすくもなります。集団への同調圧力や生きづらさは、男性よりも女性に降りかかってしまいがちな苦労だと言えるかもしれません。

 

読めば読むほど、男性と女性って、やっぱり違う生き物なんだな~と改めて村上も実感www
次回、後編に続きます。



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