塾はなぜ母親だけを面談に呼ぶのか? 高額請求に夫が「泣き寝入り」するワケ。

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入塾希望のお話と、西船橋は工房パンク状態によって夏期講習まで受講を待ってほしいと親御さんへの依頼が続くここ数週間なわけですが、この時期になるとやはり他塾さんからの転塾希望が相次いでいるのは例年のことです。

 

 

ウチにも毎年夏は転塾希望者の問い合わせが後を絶たないのですが、ウチの場合は集団・一斉指導塾さんよりも大手の個別指導塾さんからの転塾希望がやたら多いですね。もう今年もそんな時期かと思いながら、ある意味、丁度よいタイミングで記事が出たので、今日はそれを取り上げてみたいと思います↓

 

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塾はなぜ母親だけを面談に呼ぶのか? 高額請求に夫が「泣き寝入り」するワケ

6/24(土) 12:10配信のNIKKEI STYLE|ライフスタイルより

わが国では少子化で子どもが減っています。すると当たり前ですが、「子ども向け」の売り上げも減ります。どうあがいてもそれは避けられません。全国あちこちの学校で売り上げが減っているようです。某大学の経営学部に勤務する友人によれば、最近、教授会で「経営の立て直し」が真剣に議論されているとのことです(経営学部なのに)。

学習塾や自動車学校でも売り上げがかなり減っています。もちろん子どもが少なくなったせいですが、それとともに「親の懐具合」も関係していると思われます。大学へ行き、免許を取る子どもの親といえば、その多くは年齢40歳代後半から50歳代前半といったところ。この世代は「なかなか増えない給料」に苦しみ、「リストラの恐怖」におびえています。わが子を大学へは行かせてやりたいものの、その金を工面するので精いっぱいの親たち。

親がそんな状況だとしたら、学習塾の経営も厳しいにちがいありません。最近の学習塾は買収やら教室閉鎖やら、景気の悪い話が目立ちます。しかし厳しいのはどこの業界でも同じ。今回はその厳しい環境を、孫子の兵法的に乗り切った学習塾を「体験的に」ご紹介しましょう。

その学習塾では生徒の習熟度別に多くのメニューが用意されています。生徒は自分の成績に応じて、各科目別にあれやこれやと受講する講義を選びます。メニュー選択に当たっては塾のチューターと本人、そして「母親」が呼ばれて三者面談を行います。そこで決まった受講科目をもとに請求書が作成され、それは「父親」のもとに送られるのです。ここでのポイントは、受講科目を決める三者面談を行うのは母親であり、請求書は父親に送られるという点。

なぜこれが重要なポイントなのか、皆さんはわかりますか?

実際のところ、受講科目は本人とチューターの間でほぼ決まっているようです。三者面談は母親への確認程度なのだとか。「私が行く必要なかった」とぐちる母親。しかし三者面談に母親が参加している事実が、あとで重要な意味を持つのです。

■塾が夫に仕掛ける、「泣き寝入り」迫る心理戦

選択科目の一覧と請求書を受け取ったお父さんは、その請求金額の大きさに目を丸くします。すぐにでも本人を呼びつけて、「これは本当に必要なのか?」と問いただしたい気分。しかし、それを決めた場に母親が同席していることが大きなポイントなのです。ここで異議申し立てをすると、夫婦関係に亀裂が入るおそれがあります。

40歳代後半から50歳代前半の男性といえば、割と景気のよい時期に会社に入り、大いに働き、大いに飲んだ世代です。仕事仲間とゴルフ仲間は多いものの、その半面、家庭をないがしろにしてきた男性が少なくありません。そしてわが子の受験についても「ヨメに任せきり」の人があまりにも多いのです。

ここで我が子の塾代金が高いからといってそれに異議を唱えると、それは妻の決定に反論する図式になってしまいます。もし仮に異議申し立てをして、妻から「いまさら何なのよ」と反論されたら修羅場になりかねません。お父さんは請求書を手にしばし考え込みます。その末に「しかたない、払うか」と意気消沈しながら大金の支払いを覚悟するのであります。

「戦争論」で知られる軍事学者、カール・フォン・クラウゼビッツは、戦争の本質について「相互作用・両極性」であると説明しています。戦争ではお互いの打ち手がエスカレートし(相互作用)、片方の有利がもう片方の不利になる(両極性)。戦争にはこの2つの特徴があるのだそうです。

■夫婦の「平和」を保つのにも有用な「戦争論」

これは決して戦争だけの話ではありません。夫婦関係においても気を抜くと「相互作用・両極性」が発生しかねません。「あなた、週末、家に居たことないでしょ」と怒る奥さんは自らも出掛けるようになり(相互作用)、夫婦で子どもの面倒を押しつけ合って口論する(両極性)。かくして夫婦は戦争状態に陥りうるわけです。

三者面談の結果として決まった受講科目に異議申し立てすると、クラウゼビッツのいう戦争状態になりかねないという懸念。それを敏感に察知した父親は、黙って大金を払うことでこれを回避します。ここにおいて、お父さんにとっての大金支払いは、もはや塾代金ではありません。その数十万円の支払いは「平和維持費」といえる性質のものに変化しています。塾代だと思えばあまりに高いが、家庭内の紛争を未然に回避し、平和を維持するためのコストと思って我慢するしかない。

孫子の兵法にいわく、「進みてふせぐべからずは、その虚を衝けばなり」(虚実篇)。「進撃するときは、敵の虚をつくこと。そうすれば敵は防ぎきれない」。敵に対して正面からぶつかってはいけない。相手が「そこを攻めてくるか」という「まさか!」のポイントを攻めることが大切。それによって、敵に勝つことができるという教えです。くだんの学習塾はこの孫子の一節を知っていたのかもしれません。

「子どもの将来のため」という大義名分に加え、夫婦の緊張関係という「虚を衝く」ような三者面談によって、高い塾代を支払わせる作戦。このあまりに見事すぎる作戦は、ほかにも応用が利きそうです。たとえば………、やっぱり止めましょう。これ以上お父さんを苦しめるのはあまりに気の毒というものです。(以下、省略)

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集団・一斉指導の塾の方が、当然、個別指導の塾よりも費用が低く抑えられるのは言うまでもありません。生徒数に対して、圧倒的に人件費が低くて済みますから。

 

 

なので、こういった集団指導の塾は夏期講習のパッケージさえつくってしまえば、あとは人数集めの勝負になりますので、そこからは良い授業をして、指導技術を磨き、実績を出していけば人数は集まっていくものです。細かい部分もありますが、個別指導の塾ほど繊細ではありません。

 

 

個別指導の塾は一律のパッケージなど存在せず、お子さんひとりひとりに合わせての提案営業となるため、そこに通っている同学年の子の間でも、授業時間数も受講料もべらぼうに違ってきます。上位層には上位層にふさわしいメニューを、そうでない子には弱点克服講座などのオプションも提案につけまくるため、最終的には法外な金額になるご家庭も少なくありません。

 

 

集団塾と違って、個別指導塾は少人数のビジネスモデルのため、少人数高単価にしないと、経営が成り立たないんですよね。そこに高い人件費と、生徒ウケするために教室の設備を増強してキャバクラやホストクラブ顔負けの「ぜいたくな」「キレイな」学習空間を演出して、勉強目的ではないエンターテイメントだけ期待して何しに来てるか分からないような勘違い入塾をする子をきっちり拾い上げる個別指導塾さんも少なくないはずです。

 

 

そして、元を取るためにボッタクリのような額の提案営業でお子さんに講習を取らせるといった感じでしょうか。親御さんは「わが子の将来のために…」という言葉に弱いですから…。

 

 

私が管理職を務めていた大手進学塾の個別指導部門では、こんな話は特に珍しくありません。だって、ビジネスですから…。なので、エリア会議では夏期講習の取得状況の報告を受けたとき、

 

 

「〇〇教室の小6生の◇◇くん、夏期は100万円のコースを取ってくれました!」

→結局、この子は中学受験で7校受験して7校全部不合格になりました。

 

 

「高3の▽▽さん、夏期60コマ受講決定、通常授業とは別で70万円ゲットです!」

→この子は私立高でしたが、大学受験は一般入試で全滅し、系列の私大に進学しました。

 

 

みたいな部下からの報告を多々聞かされ、私の上司たちがホクホク顔だったことが今でも印象に残っています。塾とはいえ、上場企業になればなるほど、生徒や保護者の顔色より、株主の顔色と配当金を払えるかどうかを気にしますからね。

 

 

ここで予めお断りしておきますが、こうした個別指導塾の高額の提案営業による夏期講習を受講したとしても、別にすべてが悪いなどとは言っていません。高額にはなったけれど、それだけの結果を叩き出した、成果を上げたお子さんもそれなりにいらっしゃるわけです。そういう意味では、「高価なもの=品質の高いもの」と見るのは、決して間違っていないと思います。

 

 

しかし、どんなに高額の夏期講習を取っても、結局やるのはお子さんであり、おこさんの「やる気」がなければ、お金をドブに捨てる結果になるのも、また然りです。そこがグレーというか、正解のない選択を親御さんが迫られてしまうんですよね。

 

 

私も管理職時代に10人の教室長(部下)を束ねていましたが、中には夏期講習で50万円払ったけれど、本人が頑張ったおかげで偏差値が15上がった例も見ています。なので、こればかりはお子さんの性格ややる気、親御さんの考え1つなのかもしれませんね。

 

 

少なくとも私は「お金をかけたらかけた分成果が出るなど、教育の世界では通用しない」と考えます。不動産なら額面が高ければ高いほど価値も高いわけですが、教育はお金をそんなにかけなくても、工夫次第でいくらでもお子さんの能力値を伸ばすことは可能だからです。

 

 

極端な話、進研ゼミなどの通信教材だけでも偏差値を伸ばす子もいれば、塾漬けにしても偏差値35で終わる子もいる。結局はお子さん自身の認識次第、「心」が育っているかどうかにすべてかかっていると私は確信しています。だから、私は塾生の「心」を育てるんです。心構えがしっかりしている子は、必ず「自己管理」もできるようになりますから。

 

 

ひとまず、ウチの塾に関して言うなら、夏期講習は他塾さんの提案面談の後にウチの塾に悲鳴上げて飛び込んでこられるご家庭が多いです。「夏期講習で30万円と言われて、ドン引きしてしまいました…」などなどのご相談が後を絶ちません。

 

 

ウチの塾は結構いい加減なためか、たぶんそういった大手さんの3分の1の受講料ぐらいで、その大手さんと同じ時間数と学習指導をしていますね。もちろん、手は抜かないし、塾生が悲鳴上げるぐらいまで勉強させます。泣き言言ったら、潰しますよ平気で(笑)。

 

 

おかげさまで先日、西船橋では純ジャパ【純正ジャパニーズの略】の中2生が英検準2級(高校中級程度)に一発合格したり、稲毛ではスーパーキッズの中1生が5科470点をゲットしてくるなど、しっかりと結果を出せています。ウチは塾生を甘やかさないので。

 

 

点数が振るわなかった子も精神的にかなり追い込みますが、そこから反省して、見違えるように成長してくれます。自分に甘いヤツは絶対に結果を出せない!…ウチは塾生にそう言い続けているので。

 

 

結局は、塾によってやり方や見せ方、方針の違いはあれど、子どもたちを想う気持ちはみんな同じだということなんでしょうね。

 

 

ウチはウチのやり方で、精一杯、ウチを信じてついてきてくれる塾生と親御さんたちのために、いつだって全力で向き合っていこうと思います。

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