コロナの影響をもろに受けてしまったが故に、来月末で塾を閉じる塾長先生と色々と話をしていたのだが、私自身も改めて考えさせられる内容だった。
これは学校の先生にも言えることなんだけど、子どもがたるんでるとか怠惰であるが故に厳しく指導したりモノを言ったりしようものなら、子どもから虐待だパワハラだ呼ばわりされて、身動きがとれなくなってしまうという事実が存在することだ。
すべての子どもがそうだとは言わないが、オトナが強く出れないことをいいことに、徹底的にオトナを見下してツケあがる子どもの割合は年々増えているようだ。ニュースなどの報道を見ていると、ときに学校の問題児が教師に向かって「殴れるもんなら殴ってみろよ!?オラ、やってみろよ!すぐに教育委員会に訴えてやるからよぉ!」と逆に脅しをかけている始末。
そんなクソガキなど私は人間扱いすらしないから、昔は散々返り討ちにしてきて「村上」とか「塾長」という言葉を聞いた瞬間に、相手を怯え上がらせたものだが…。
さて、今の時代だと、そんなガキに鉄槌を下してボコボコにしようものなら、問題児側が警察やら弁護士やらをっ投入して事件化させて、今度は舞台が裁判所になって、結局はツケあがった子どもに鉄槌を下した教師が民事的責任を負わされて現場を去っていく始末。
先述した塾を閉じる塾長先生も昭和気質で熱い先生であったが故に、色々と消耗して疲れ切ってしまったとのこと。残念でならない。
このところ、虐待だパワハラだ!と叫ばれることを恐れて、指導する側の人間が委縮するケースが明らかに増えている。
もちろん、虐待とかパワハラというのは違法だから、コンプライアンス上なら慎むべき行為にはなるだろう。ただ、本来成されるべき指導をしたら批判されることを恐れて、結局指導せずに終わってしまう…なんてことになれば、指導される側の問題行動が改善されることなく、さらなる問題を引き起こす結果につながってしまう。
相手に対して指導するということは、行動を変えることであり、性格を変えさせることではない。
私も塾生に対して、意識改革をさせるためにマインドセットを提唱するが、そもそも簡単なことでもない。意識とか性格ほど、人間自身で変わらないモノはない。
なぜなら、これまでの人生経験の集積知であり、内面で熟成された上で構成されたものだからだ。
少しばかりの外部からの指導を受けて、いきなり意識を変えることなど到底考えられないし、それにもかかわらず、指導によっては内面性に触れようとするからトラブルに発展する。
子どもだけもなく、オトナに対しても同じことだと思われるが、指導というのは意識ではなく具体的な行動に向けられるべきものである。虐待と思われるケースの話をよく聞くが、大抵は行動を越えた人格批判の場合も多い。これでは虐待認定されてもやむを得ない部分もある。
指導するという行為の理想形は、第三者の目に触れても大丈夫な内容であるじかと自問した上で実施するのが本来望ましい。
そして、指導することが上手な人に共通しているのは、しつこく言わないという点である。
何度も過去の失敗に言及する指導者もいるようだが、それは傍から見ているとストレス発散のようにしか見えない。上手な人は、間違っていることをタイミングを外さず指摘するものの、一度指摘したら終わりにする。しつこく繰り返すほど相手もツラくなることを理解できているからだと思う。
指導をするということは、私も20年以上現場で指導していても極めきれないほど、相応に奥が深い。
何をもって正解か分からなくなるときもある。私自身迷いつつも、あるべき指導の理想形をさらに模索していきたいと改めて思う。
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