保険証や運転免許証との一体化など、デジタル化の鍵を握っていくのが、「マイナンバーカード」。

近い将来、小中学生の学校の成績も管理することになる可能性も。政府は、小中学生の学習履歴や試験の成績を、マイナンバーカードにひも付け、オンラインで管理する仕組み作りに着手した。

そもそも文科省は、教育データの利活用を進めていて、児童・生徒の個人の学習意欲の変化や理解度をデータとして記録するのは、1人ひとりに合った効果的な学びの実現が目的。蓄積された記録データをもとに、教員が、1人ひとりに合った指導を行うことができるとしている。

また政府は、こうした個人の学習データのマイナンバーカードへのひも付けを検討していて、2023年度以降の実現を目指している。

小中学生の学習履歴や試験の成績をマイナンバーカードにひも付けることについて、教育評論家の石川幸夫さんは「メリットとしては、成績そのものが一元管理できること、進学・転校先でも共有できること」と話す。

教師が新しい教え子を担当する場合、これまでの学習記録が確認しやすくなるため、子どもにとっても教育の継続性が得られるようになり、また、成績の変化などをビッグデータ化することで、将来の教育に生かせるという。

さらに、今までは、書類ベースだった転校や転入の手続きが、データで簡単にやり取りできるようになり、教師の仕事の軽減につながるという。

一方で、デメリットについて、石川幸夫さんは「個人情報漏えいの危険があり、取り扱いについては、慎重かつ慎重というくらいのものが必要になってくると思います」と話す。

現段階では、主に成績のデータを記録する想定だが、このほかに発達段階の子どもたちが起こした過ちなど、ネガティブな記録までを扱うかについては、十分な検討が必要だと指摘している。